じぶんインタビュー

一時帰国中のコロナ禍。
NYに戻れなくなる
不測の事態を経験して

一人語り形式Aタイプ サンプル
(コロナ禍での経験を語る)

高島未季さん

フォトグラファー。横浜市出身。桑沢デザイン研究所スペースデザイン専攻を卒業し、一般企業でオフィースワークを経験した後、都内のスタジオ勤務、コマーシャルフォトグラファーのアシスタントを経て独立。昼夜働き資金を貯めて、2016年に渡米し、ニューヨークを拠点とする。現在はインテリアや建築の専門誌中心の仕事をしながら、自身のテーマに沿った作品を撮りためている。

本文文字数:2,500字程度

ビザの手続きのための一時帰国のはずが・・・

2019年の終わりころ、2年ぶりの一時帰国でしばし実家に戻り、その間にビザの更新手続きをしました。いまの自分の居場所はニューヨークにあるので、当然戻る気ではいました。でも、トランプ政権下でビザの取得が厳しくなっていて、スムーズにいくかどうか心配でしたね。そんな不安に追い打ちをかけるように、コロナの波がやってきたんです。最初の大きなニュースは、地元横浜の港に停泊したダイヤモンド・プリンセス号での感染拡大でした。

そのころはまだ、アジア地域で広がっているウイルスとされていたので、アメリカ再入国の審査に影響するかもしれないなと、心配する程度でした。大使館での面談を経て、幸いビザは無事に取得することができたのですが、そうこうしているうちに、感染がみるみる拡大して…。このタイミングでの出国は見合わせたほうが良いだろうと、4月の初めに予約していたフライトを先にずらしました。2020年3月のことでした。そのあとは、みなさんご存知のように、むしろニューヨークが大変なことになって、とても戻れる状況ではなくなりました。フライトの予約は、結局その後2回変更することになりました。

ニューヨークに戻れないジレンマ

私は、主に日本の出版社のための撮影の仕事をニューヨークで行うことで、生計を立てています。貯蓄が十分あるとはいえない状況で、たまたま一時帰国していたのは不幸中の幸いでした。あのまま物価の高いニューヨークにいたら、ロックダウン中どうやって生活を維持できたか想像がつかなくて、ほんとにぞっとします。毎日のように連絡を取って励まし合ったニューヨークの友人たちには、「いま戻っちゃダメだ」とずっと言われていました。仕事どころではないからと。見慣れた街に人っこひとり歩いていない写真が送られてきたりして、衝撃でしたね。それを思えばラッキーだったんでしょうが、かといって、5年近く離れていた日本での撮影の仕事も、つてが限られていたし、コロナ禍では撮影自体がずい分見合わせになっていたので、実家で肩身が狭くなる一方でした。

悩みは経済的なことだけではなく、なによりやりたいことのフィールドがニューヨークにあった私が、もう戻ることができないかもしれない、このまま日本に残るしかないのかと思うと、精神的にきつかったです。経済的な苦労は、日本でフォトグラファーを目指した当初から始まっていたから耐性があって(笑)、あと、体力だけには自信があったので、開き直って工場でのバイトを始めました。急な撮影が入ったら優先できる条件のところを探して、化粧品の工場で働きました。日々、入り口で検温しては、アイシャドウをプラスチック容器にセットするラインに向かいます。時給は1000円ちょっとでした。せっかくやりたいことにたどり着き、夢を持って努力もしてきたのに、それが中途半端に断たれた状態であることへの焦りは、募る一方でした。

マンハッタン遠景(本人撮影)

思い切って旅立つ!

夏になり、感染拡大は落ち着いてきたニューヨークも、経済活動はまだまだ回復していませんでした。それでも、思い切って、8月も半ばを過ぎたころ、戻る決断をしました。仕事の状況によっては、いつまでいられるかもわかりませんが、テキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキスト。テキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキスト。テキストテキストテキストテキテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキスト。

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NYCからカナダまでつながるNew York State Route 22。いつしか郊外の風景に惹かれるようになったが、とりわけこの周辺エリアが大好きで、被写体にすることも多い。(本人撮影)

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いわゆる“ガテン系”の人たちの仕事ぶりに魅力を感じ、撮影することが増えた。合間での会話も楽しい。(本人撮影)
最近はバックパックに撮影機材を入れて持ち運んでいる。地下鉄の階段の上り下りが多いNYでは、キャリーケースより断然バックパック!(本人撮影)

編集後記の有無は選べます

編集後記

なんだか陳腐な表現になってしまうのですが、挑戦する人は輝いていると、本当に思います。誰もがやりたいことを見つけたり、夢を持てるわけではなく、夢を語れる大人は少ないかもしれません。コロナ禍、気持ちが窮屈になったり、不安になったりする中だからなおさらなのでしょうか、険しい道を行きながら人生を謳歌する人に希望を見ます。そして、多少無謀に見える挑戦でも、応援できる社会がいいなと思うのです。

高島さんの写真、もっともっと見たいです!